オーバーエデュケーション

Posted by nakane on 28th 1月 2017

幼児教育から大学までの教育無償化を憲法に盛り込むべき、という野党の質問が国会であったとの報道。

安倍首相が憲法改正に前向きという側面でなされていましたが、

私が気になったのは、憲法改正ではなく、大学という点。

さらに言えば、就職という点から見た大学について。

 

大学の授業料が無償化になれば、

奨学金破産の話も、授業料高騰の話も、一気に解決です。

一方で、オーバーエデュケーションの話は、さらに深刻になるだろうと感じます。

オーバーエデュケーションとは、

大学を卒業した人が10人いるのに、企業の大卒採用枠が7人だった場合、

3人は大卒を要件としない採用枠に行かざるをえないことになり、

主に給料などの雇用条件が大学を卒業したことに見合わない状態にあることです。

 

希望する誰もが大学に行け、アカデミックに学ぶことができるのは素晴らしいことです。

今、50%以上ある大学進学率も、授業料無償化になればもっと伸びる可能性もあります。

しかし、大学に進学した人が、研究職に就く人ばかりでは無いことも事実。

就職という点から見ると、大学で学んだ高等教育を活かせる仕事が社会に量的に拡大していることが必要になります。

 

「スタンフォード大学の法学部が、企業の法務や知的財産に強いと言われるように、

大学での教育をもっと企業ニーズに即応した「実学」に変更できるか。」

と、教育関係の方に聞いたことがあります。

「法学部は、法学を体系的に学問するところであって、職業訓練の場にすることは難しいでしょう。」とのお答え。

北野武さんが母親に言われたという言葉、

「工学部を出てりゃ喰いっぱぐれが無いから、大学は工学部でなきゃダメだ」、を思い出しながら、

文系学生の未来はなかなか厳しいぞ、と感じました。

 

また、そもそも、大学が就職へのキャリアパスとして機能し続けるかということもあります。

トヨタさん、デンソーさん、アイシンさんなどには、企業内学園(高校相当)があります。

訪問させていただいた学園で生徒さんから、

エンジニアを目指すという気持ちと、技能五輪の選手になりたいという目標を伺い、

中学生だった頃の自分に、こんな明確に将来を描いて高校進学を考える気持ちがあったかと感じました。

 

Categories: 事業・政策
11月

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