落語、花見酒
Posted by nakane on 23rd 2月 2017
乙川沿いに植わっている早咲きの葵桜がほころび始めました。
寒いですが、季節は着実に春に向かっているんですね。
本格的な桜の季節を前に、落語の「花見酒」を取り上げてみたいと思います。
あらすじはこうです。
向島の桜が満開。
にぎわう花見客相手に一儲けしようじゃないかと考えた兄弟分。
はなから酔っぱらいの花見客だ、水で薄めた酒だって判りゃしない。
2斗が2両の酒ならば、水で薄めて、ひしゃく1杯10銭で売れば4両、
その4両でまた酒を仕入れて、同じように薄めて売りゃあ今度は8両と、
これを繰り返して大儲けの算段。
2両なんて大金は無いものだからツケにして、酒屋から2人で大樽かついで向島へ。
その道中、ぷ~んと漂う酒の匂いに我慢できなくなった兄貴分が、
弟分に10銭払うと、ゴキュッ!ゴキュッ!と一杯ひっかけた。
そうなると今度は弟分も、手にした10銭を兄貴にわたして1杯ひっかけた。
飲みだすと止まらないのが酒飲みの性分。
兄貴が弟分に10銭わたして「ぷはぁ~!」、
弟分が兄貴に10銭わたして「ぷはぁ~!」、
の繰り返し。向島に着いた時には酒樽は空っぽ。
しょうがねぇ、売れた4両もってもう一回仕入れに行くか。
と、手元をみたが、なぜか10銭しか無い。
という話し。
ここでの注目点は、売上げを管理する「財布」が無いこと。
つまり、酒樽の所有権が2人の間で行ったり来たりしていて、
最終的に酒屋にツケを払う責任の所在がはっきりしていないことです。
誰のものでも無いものは、いい加減な管理になることの典型例。
目先のご都合主義で責任を回避した決定や、最終的なツケを後の世代へ回すことが無いように。
咲きはじめた花を見上げながら、
新年度の予算を審議している今だから思い出す、落語のおはなしでした。
22月