「スポーツ振興と地域活性化に向けて」というテーマで、福岡県の取り組みをお伺いしました。
大会招致や経済効果、施設建設という話しではありません。
数多あるスポーツ種目の中で、子どもたちが自分に合ったスポーツに出会い、その可能性を広げていく、
「福岡県タレント発掘事業」という事業。
一握りのスポーツエリート養成ではないかという批判もあったそうですが、
返す刀では、
世界レベルで戦える素質をもった子どものチャンスをつぶす責任を誰がとるのか、
となります。
バドミントンと陸上走り幅跳びをやっていた女の子は、
前後の俊敏性とバネを活かしてフェンシングに転向すると、
2年半で全日本優勝・ナショナルチーム入り、という実例もあるそうです。
ここでのポイントは、
地域の小中学校に通っている運動能力の高い子どもと、
ナショナルチームなどの指導者(コーチ)とが出会える機会を創っていくことです。
北京オリンピックで銀メダルを獲得したフェンシング太田選手のコーチは、
メダル獲得の感想をマスコミに求められた時に、
「太田という才能を私達の前に連れてきてくれてありがとう。」と述べたそうです。
学校では、部活の種類も限られており、顧問教師に専門性を求めることにも無理があります。
また、能力の発達時期では、
動作の習得は小学校低学年、粘り強さは小学校高学年から中学生、筋力では中学生から高校生、
にそれぞれのピークが来るとされています。
競技への接し方も年齢や経過度によって、
競技にふれる・楽しむ段階から、技術を覚える、試合に勝つためのノウハウ、と段階があります。
さらには、スポーツ種目の特性により、
競技を始めるのに良い年齢時期や、他の種目に転向する限界の年齢などもあるそうです。
これらを総合的に理解し、様々なスポーツ種目を仕組みだって体験できる機会を提供することと、
ナショナルチームのコーチに福岡(地方)まで足を運んでもらえる「場」づくりをしていくためには、
福岡県単独だけでは限界があり、その範囲を九州全体に広げて、
行政の広域連携とクラブチームなど多様な主体とでコンソーシアムを組んでいるとのことでした。
そこには、「私たちは未来から『スポーツ』を託されている」という、スポーツに携わる者の覚悟がある。
と仰られていたのがとても印象強く残っています。
この取り組み、東京オリンピックが招致の際に掲げた、
「Sport for Tomorrow」(スポーツが未来をつくる)とも符号しています。
2020年東京オリンピック・パラリンピック大会とそれに向け た具体的行動を通じて、
世界のより良い未来のために、未来を担う若者をはじめ、あらゆる世代の人々 に、
スポーツの価値とオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを広げていく。
という開催理念です。