昨日、議会初日の午後に開催されました自民党県議団の研修会です。
講師は、国土交通省中部運輸局長の鈴木昭久氏。
演題は「愛知の地域資源を再発掘」ということで観光関係です。
運輸局というと、トラックなど輸送のイメージを強く持たれますが、
地域間交流を行っていることもアピールするため、
゛愛称:中部「交流」局長”として、こうした講演も行われているとのことでした。
大変おもしろい内容でしたので、少しだけ紹介します。
観光を語るとき、フランス来訪外国人数8000万人という数字が良く出ますが、
その内訳をみると、車で来る人が5000万人。
経済境界のないEUのため、ちょっとした買い物に近隣の国から来る人が多いのだそうです。
このことから勘案すれば、昨年の訪日外国人数2400万人超(推計値)がすごい数ということが分かります。
国は、2020年までのこの数を4000万人にする目標です。
中部北陸の9県で進める昇竜道プロジェクトも目標を1100万人に上方修正しました。
愛知への来訪者の特徴としては、韓国・中国・香港・台湾からが全体の7割以上、
特に中国からの来訪者が52%を占めています。
このことからJNTO(日本政府観光局)では、
これからの3年間、中国に向けた昇竜道のPRを集中して行うことを決定しました。
中国人観光客の爆買ブームも終わっちゃったでしょ!という話を聞くこともあります。
事実、一人当たりの旅行支出額は、2015年の第4四半期以降下降していますが、
これは円高に振れた為替のトリックによるところが大きく、
現地通貨ベースでの金額は落ちていないとのこと。
訪日外国人の旅行消費額は、2016年速報値で、前年比7.8%増の過去最高額3兆7476億円。
愛知の輸出額をみると、1位の完成自動車、2位の化学製品、
これに続く第3位は、なんとインバウンドの旅行消費額なのだそうです。
訪日外国人はバスで 来て宿泊するだけで、地元への経済効果が薄い、という指摘には、
これからが果実ですよ!という話。
来訪回数でみると、2回以上日本に来ている人が全体の5割以上。
10回以上来ている人も1割以上あります。
特にアジアからの訪日客にこのリピート傾向が強い。
最初の1回目や2回目は、東京や京都、富士山などメジャーな観光地に行くもので、
全体傾向としては、4回目ぐらいから色んな場所や体験を楽しむようになる。
中国や東南アジアで、雲をつかむような誘客PRに自治体が金を使うぐらいなら、
短い宿泊の時間であっても、今来ている人に好印象を持ってもらう方がどれだけ有効か。
しかも、旅行消費額は、ツアー客よりも、個人手配旅行の方が高くなっています。
インバウンドでは、杉原千畝ルートと言われる観光ルートがあります。
シベリア鉄道から日本海を渡り、日本到着の場所が敦賀湾。
そこから杉原氏が生まれた岐阜県八百津町へとつづきます。
実はこれ、イスラエルの人が増えたことを不思議に思った高山市が調べてみて分かったことなのだそうです。
こちらがしかけた訳ではない、外国人目線での需要の存在を教えてくれます。
愛知県では、杉原千畝氏が青少年期を過ごした瑞陵高校(名古屋市)に顕彰の施設を設置します。
岐阜から愛知へ。アンテナの感度高く、結び付けていきたいですね。